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今までと違う!五全総!!
このページは'98/11/1に更新しました。
このページを開設して最初に公開した内容は、「全総のまとめ」でした。 しかし、様々な資料があった四全総までに対し、五全総は本文しかなく、 文章読解能力の乏しい僕の文章では、適切な解説になっていなかったように感じました。
そこで、資料が手に入ったこともあり、今一度まとめ直します。
参考文献は土木学会誌98年10月号です。それでは、ご覧ください。


 平成10年3月31日、5番目の全総である、 「21世紀の国土のグランドデザイン −地域の自立の促進と美しい国土の創造−」 (以後、五全総と称します。)が閣議決定されました。
 五全総は今までの全総と一線を画しています。 いままでと違う全く新しい全総を策定しようということから、名称も 「第五次全国総合開発計画」ではなく、このような名称になりました。 このページでは五全総の特徴、今までの全総との違い等、まとめたいと思います。

閣議決定1998年3月31日
策定時の内閣橋本内閣
背景1.地球時代
2.人口減少,高齢化時代
3.高度情報化時代
目標年次2010〜2015年
基本目標多軸型国土構造形成の基礎づくり
戦略参加と連携
まず、五全総を項目ごとに左表にまとめました。

「21世紀の国土のグランドデザイン」って何?

「21世紀の国土のグランドデザイン」については五全総の第1部・第1章において述べられています。

 そこでは、五全総の施行期間、つまり今後21世紀初頭にかけては、 国土とそれを構成する地域とをめぐる諸状況は、戦後のそれとは 大きく異なるものになると指摘し、具体的には次の4項目を挙げています。

@国民意識の大転換:量より質、所得よりゆとり、 また自由な選択や自己責任、自然への再認識、男女平等への変換
A地球時代:国境をこえ、地球全体がひとつの圏域と化している。
B人口減少、高齢化時代:人口ピラミッドの変化
C高度情報化時代:経済社会の様々な側面において 情報通信の果たす役割が飛躍的に高まろうとしている。

そして、これらに対応した社会を創造することが 「21世紀の国土のグランドデザイン」の構想であるとしています。

「21世紀の国土のグランドデザイン」を実現させるための基本目標

 「21世紀の国土のグランドデザイン」の構想を実現させるために、 次のような基本目標が提示されました。
それは、多軸型国土構造形成の基礎づくりです。
五全総では、現在の国土構造に至る過程を示しています。

【ステップ1】
戦前、重化学工業が発展するにつれて資源輸入に便利な 臨海型の工業地帯が太平洋側に整備されました。これが現在の国土構造の起因となるものです。

【ステップ2】
戦後になると、その基盤のある地域に官民の集中的な投資が行われることにより、 就業機会を求めて人口が移動して太平洋ベルト地帯が形成されました。 ここに、一軸集中ともいえる国土構造が展開されたわけです。

【ステップ3】
 その後、経済が高度成長から安定成長へと移行したことにより、 サービス化,ソフト化が進み、企業の中枢管理機能, 金融の東京集中が進んだことから、東京一極集中へとつながりました。

【ステップ4】
 現在は、その東京一極集中に変化の兆しが見られ、 地方中枢都市の拠点性が高まっていながらも、依然東京への集中度が高くなっています。

 つまり、これまでの全総で解決しようとしてきた「地域格差」は、 この国土構造によるものと考え、根本的にそれを転換する ことにより、諸問題解決を目指そうとしたといえます。

 そして国土構造の変化は、社会状況が変化したときに起こっていることから、 先に述べた通りの将来展望のもとでは国土構造転換を するのに可能な時期としています。

 それを踏まえて五全総では、「多軸型国土構造形成の基礎づくり」の推進を提示しています。 つまり、様々な共通性を持った地域の連なりが圏域としての輪郭を次第に明瞭にし、 その圏域(国土軸)が複数存在することにより、 相互に連携して国土を形成していく国土構造を目指しているわけです。 具体的には以下の4軸を構想しています。

@北東国土軸:中央高地から関東北部を経て、東北の太平洋側、北海道に至る地域。
A日本海国土軸:九州北部から本州の日本海側、北海道の日本海側に至る地域。
B太平洋新国土軸:沖縄から九州中南部、四国、紀伊半島を経て伊勢湾沿岸に至る地域。
C西日本国土軸:太平洋ベルト地帯。

太平洋ベルト地帯は明治以降100年を超す時間が費やされて形成されたことから、これら 4軸も長期的な視野に立って取り組むとしています。

四全総までは、開発方式。でも五全総は・・・

全総を策定する際、四全総までは、次のようなフローとなっていました。

@現状、基本課題の把握
A基本目標の設定
B基本目標を達成するための方針(開発方式)の設定
C交通網等、各分野の計画

五全総に置きかえると、@は「地球時代」「人口減少,高齢化時代」「高度情報化時代」等、 Aは「多軸型国土構造形成の基礎づくり」であり、 上のフローでいくと次は何らかの開発方式をとって、 「多軸型国土構造形成の基礎づくり」という目標を達成させる訳ですが、 五全総では、開発方式を提示していません。では、それに変わって何を提示しているかというと、 「参加と連携」です。 ごく簡単にいうと、それは「地方や民間企業に委ねる方式」といえます。

 つまり、四全総までの開発方式では、例えば一全総の拠点開発方式のように全国一律で 同じ方法をとって開発を進める方式でした。しかし、五全総では各地域の個性や多様化を尊重し、 地方団体等への「呼びかけ型」の計画方式に変化しています。

 しかし、「五全総の開発方式は"多軸型国土構造形成の基礎づくり"である」と感じてしまうのは僕だけでしょうか?
 いずれにしても、この五全総が意義のある計画になったかどうかは、2010年頃にわかります。


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